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シズニの導き「永遠の約束を」 

 

まあなんというか“そういうネタ”です。
マクシム側からの【初めて聞いた日】と【初めて言った日】の話。
基本的にはラブラブだけれど、前提がそれなので苦手な方はご注意ください。
マクシムとセリーナはずっとずっと一緒。
たとえ導かれても、その先も、ずっと。
 






 その日、その言葉を言われた時、全身に冷たい水を浴びせられたかと思った。

「本当に幸せな日々だったわ――マクシムくんのお蔭で」

 初めて聞く言葉なのに、その意味することはすぐにわかった。

「――セリーナさん。何を……」

 愛しい人は、少し苦しそうに微笑った。

「ここのところ、少し違和感があって」
「違和感?」
「今まで自分の腕の一部のように振るえていた剣が、なんだか違うもののように思えて」
「――!」
「だから、多分もうすぐ“そういうこと”なんだろうって――ね。そうしたら……今、“近くに感じる”の」
「……何を……?」
「“戴冠の時に、傍にいらしたもの”を」
「!!」
「――わかるでしょう? マクシムくんなら……」

 そう。自分にはわかる。“それが何か”。そして“それの意味する”ことが。

 ――痛いほど。

「あたしももう王冠を継いで長いから……そろそろ、ね……」

 すべてをもう受け容れてしまっている――そんな顔をしている。

「あたしは本当に幸せだった……ううん。ずっと幸せよ。そしてそれは、マクシムくんのお蔭」
「……やめてくれ……そんな……」

 それ以上聞きたくなくて、強く抱きしめる。腕の中に閉じ込める。
 抱きしめた体の感触は、いつもと変わらない――なのに。何だか少し痩せたようにも思える。今までよりも弱弱しく感じる。そんなにも突然に、変わるはずはないのに。

「――セリーナさんは、ずっと僕と……」
「ふふふ……もちろんだわ。もちろん、あたしはずっとキミと一緒。だから――」

 胸に、熱い吐息が沁みる。

「――ちゃんと“待ってるから”」

 もう何も言えなくて。何も聞きたくなくて。
 ただ両腕に力を籠めた。





 その日から、毎日願った。
 昔、成人した年に短い期間ではあったが、常に傍にあった大いなる存在に。
 愛しい人を、誰よりも大切な、決して手放したくない人を自分の元から連れ去ってしまうというのなら――

 ――この身も、共に導いて欲しいと。

 離れたくない。
 ずっと側にいたい。
 愛しいセリーナ。この世で一番大切な人。
 セリーナと離れる。それはこの身を裂かれるのと同じ。

 だから願った。
 幸せだったと言われるたびに。
 愛しい人の弱弱しい変化を目の当たりにするたびに。

 シズニの、導きを――と。





 そして――

 朝、目を開けて違和感を覚える。
 今まで味わったことのない倦怠感。身体が重い。自由がきかない――とでもいうような。
 同時に。

「――ああ……」

 懐かしい、若かりし頃“常に共にあった気配”が間近に感じられた。

「――シズニよ……」

 短い間ではあったけれど、仕えた僕(しもべ)の願いが聞き届けられた――そう理解する。
 そして胸の内に広がる熱い感情。

 ――無上の、喜び。

 隣で眠る愛しい人をそっと抱きしめる。
 眠りが浅くなっているのか、睫毛と口がかすかに動いている。惹かれるように瞼に口を寄せる。
 柑橘色の頭が、少し動いた。

「――ん……マクシム……くん?」

 あまり寝起きの良くない愛しい人が、ぼんやりとこちらを見た。
 赤茶の瞳がとろんとしている。
 わずかに開いた口に唇を合わせる。今、胸の中に広がる熱い気持ちのままに、貪る。寝惚けた身には唐突な出来事だろうに、こちらの動きに導かれるように段々と登りつめてくる。

「――セリーナさん……」
「……ン……」
「僕も本当に――幸せだよ。あなたと過ごした日々は……何物にも変え難い、素晴らしくて幸せな日々だった」

 瞬間、赤茶の瞳の面が引き締まる。

「――マクシムくん……それって……」

 微笑みを浮かべる。
 数日前に目の前の人が浮かべた微笑みと同じ微笑みを。
 それだけで愛しい人はすべてを理解したようだ。目を丸くして、息を呑んだ。

「……そんな……どうして」
「――シズニが」
「……シズニが?」
「僕の願いを聞き届けてくれたんだよ――」
「――!」
「かつての僕(しもべ)の、心からの願いを――僕も、あなたと共に……と」
「――マクシムくん……」

 セリーナは両手で口元を覆い、息を止め――身体を震わせた。
 大きく見開かれた赤茶の瞳の面が砕ける。
 白い頬に涙の筋が伝う。

「……やだ……もう……マクシムくんにはヴィクトールの戴冠と……ジークルーナの子供の顔を見て貰って……のんびりきてくれていいって……思ってたのに……」
「ふふふ……そうだね。どうやらそれを見届けられないのは残念だけれど、でも――」

 身体に回したままの腕に力を籠める。

「僕は――あなたと離れていたくないから」

 それがほんのわずかな時間でも。
 正直に言えば、予感の訪れが今日なのは少し遅いと思えるくらいだ。
 セリーナは、大粒の涙を零しながら、微笑みを浮かべた。

「――しかたのないひと……」

 それは、彼女の口癖。
 自分のちょっとした我が儘を、いつもそう困ったように笑いながら受け容れてくれる。

「本当に―――しかたのないひと……でも――。でも……嬉しい」
「――セリーナさん」
「嬉しいの……。のんびりで良いって思っても……本当はそんなに離れていたくない……。……マクシムくんを置いて逝くのも……辛くて……だから……」

 胸元に顔を埋めてくる。甘いラナンの香りが舞った。

「――嬉しい」
「僕は、ずっとあなたと一緒だよ。そう約束したじゃないか」
「……うん……」
「昔も、今も、その先もずっと――僕は、常にあなたと一緒だ」
「……うん……」

 視線をからませて微笑む。
 セリーナの止まらない涙を、唇と指先で掬う。

「ヴィクトール君のことは――新年の儀は見届けられる、かな」
「ふふふ……あの子大丈夫かしら。ちょっと心配だわ……」
「しっかり見届けるよ。ジークルーナちゃんの子供は……残念だけれど」
「一緒に、見守りましょう――向こうで」
「――うん。そうだね」

 可愛い子供たちの行く末は、導かれたその先で、二人一緒に見届ければいい。

「セリーナさん――愛しているよ。僕の誰よりも大切な、ただ一人のひと」
「あたしも――キミを愛してる。誰よりも、誰よりも。マクシムくんだけよ……」
「ずっと一緒にいよう。ずっと、ずっと――永遠に」
「――ええ。もちろんだわ」

 唇を重ねる。重ねた場所から、溶けて混じりあうように。
 全身で絡み合う。そのまま一つになることを望むように。

 このまま――永遠に、別たれることの、ないように。

category: 雑記 雑文

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